なぜ書くのか


Author 鉄 蒼燐


 なぜ書くのか。  これはなかなかに難しい問題である。  すでに「初心忘れるべからず?」において述べたように、きっかけはあった。  しかし、なぜ「書くこと」になったのか、と問われれば、それは「それしかなかったか ら」と答えるほかない。  しかも、「なぜ、今も書き続けているのか」となれば、これはもう、「病気だから」と いうことになってしまう。  自分に才能がないということは理解している。  出典を思い出せないのだが、ある劇画で、このような台詞があった。    才能がないというのは、努力を怠ったものの言い訳である。  文面はすこし違うかもしれないが、意味は間違っていないと思う。  確かにそうだ。  人間の能力というものは、決して、生まれ持った特徴にのみ依存するものではない。  生まれたあとの環境や、その後の訓練によって、いかようにも伸びる。  それこそが人間の可能性なのであるし、また、そこにこそ、人間の限界もある。  だが、まだ訓練が足りない、あるいは、これから訓練しても伸びようがない、という点 において、「才能がない」というのは、あり得るのではないだろうか。  だが、まあ、私自身が創作を諦めていない(諦められない)ことからも、お察しの通り であるが、私は、いまだ創作にしがみついている。  それは、やめられないからだ。  だからこそ、先述の『病気』という話につながる。  私にとっての病気である。  書かずにはいられない。  そういう『病気』。


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