方向性


Author 黒金 蒼燐


 方向性。  これは難しい。  以前、テーマについて書いた(06・テーマを盛り込む?)が、それとはまた別の問題 だと、私は考えている。  ここでいう『方向性』というものは、つまり、ジャンルとか分野とか、そういったもの のことだ。  全ての文学のジャンルが出そろってしまったとまで言われる昨今、オリジナリティは細 分化され、「よく読まないと他の作品との違いが分からない」などということになりかね ない。  だからと言って、安易にエキセントリックなキャラクターを考え、その人物設定で作品 そのもののオリジナリティを確保しようという手法はいかがなものか……。  目立ったキャラがいなくては「パクリではなく、同一ジャンルの別モノ」と、読者に認 識してもらうのも一苦労なのであろうか。  話を戻そう。  さて、方向性の話である。  私自身の話で恐縮であるが、例として挙げてみようと思う。  私はファンタジー系を主に創作している。  というか、そのつもりである。  西洋ファンタジーか、東洋ファンタジーか。  あるいは、異世界モノか、現代モノか。  ファンタジーにも数はあれど、私は、ファンタジーならなんでもいい。  これも、一つの方向性といえるだろう。  つまるところ、私はファンタジーしか書けないわけだが……。  いや、いや。  石を投げるのはちょっと待って欲しい。  現代小説(のようなもの)やSF・スチームパンク(らしきもの)にも挑戦してみたが 全く駄目だった。  うまく描けなかったとか、アイディアが浮かばなくなったとか、そういう事ではない。  駄目だったのだ。  それ故に、私は、自分の方向性を定めた。  いや、定めざるを得なかった。  ファンタジーで、いけるところまでいこう。  …、と。  このようにして、自分なりにいろいろと試してみた結果、落ち着いた先に、自分なりの 方向性があるような気がする。  もちろん、他の分野を諦めたわけではない。  機会があれば、また、いろいろと試してみたい。  そういう挑戦も、創作の醍醐味だろう。


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